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インターミッテント・ファスティング超入門 ローリー・シューメック 医学博士
1日に3〜6回食事をとり、さらに間食まで食べるという食事法が推奨されていた時期があったのも、それほど昔のことではありません。その後数十年ほど経って、最近になるとファスティング(断食)がよく推奨されるようになってきました。これにはとても納得のいく理由があります。食事を1回とばすだけでも、体が脂肪を燃焼する状態に入り、健康にもいいということを示す質の高い論文が今までにたくさん公開されています。
しかし、アメリカ人のほとんどは食事をわざと一回抜かすと聞くと、ちょっとしたパニックを起こしてしまいます。というのも、ほとんどの人が1日3回食事をとり、間食も食べるという食習慣を持っており、さらにそれがいいことだと推奨もされているからです。1日3回の食事が一般的になる前の時代、人間は24時間いつでも食べ物がある状態にいなかったため、断食期間があるのは一般的なことでした。私たちの先祖は食料を求めて狩猟を行わなければいけなかったのです。これはつまり食料が見つからなかった場合、定期的に食事をとることが難しく、時には何日も食べ物なしで生きていかなければならなかったということです。私たちの遺伝子にはこのような習慣が刻まれているのです。
1日中食べていて食事を抜かすことがないと、体を糖(グルコース)を燃焼させて、それを主なエネルギー源とすることで対応しようとします。こうなると酵素が蓄積された脂肪を燃やすのをやめてしまいます。その結果、脂肪を燃やすのではなく、糖を燃やす体質になってしまうのです。これによりインスリン抵抗性が急激に高まり、体重が増え、ダイエットするのが難しくなってしまう可能性があります。
インターミッテント・ファスティングを始めましょう。
「インターミッテント・ファスティングとは?」
インターミッテント・ファスティングとは食事の量をそのままに頻度を少なくすることで、この体の代謝構造を変えるテクニックです。食事回数をわざと制限すると、体が食べ物を消化し、細胞を修復し、ホルモン量をいい状態にするための時間ができます。さらに疲労や間食、体重減少などにつながり、エネルギーもたくさん消費してしまう血糖値の急降下を防ぐことができます。自然に健康を改善する方法はたくさんありますが、その中でもインターミッテント・ファスティングはとても効果的で、コストパフォーマンスもいい選択肢の一つです。
ファスティングをすると、体内でケトン体というエネルギー源が生成されることも健康にいいと言われています。ケトン体はグルコースの代謝を改善し、炎症を抑え、細胞の老廃物や老化した細胞を取り除き、オートファジーを増加させ、ミトコンドリアの健康を増進します。オートファジーとは細胞のデトックス機能で、ブラックコーヒーを摂取することでもこの働きを増加させることができます。食事を抜かすことのメリットはたくさんあります。例えばインシュリン感応性が高まったり、腹部の脂肪などを減らしたり、コレステロールの状態を改善したり、成長ホルモン(HGH)の分泌を高めたり、腸の健康を改善したりすることなどが挙げられます。
「インターミッテント・ファスティングの種類」
インターミッテント・ファスティングにはたくさんの種類があります。主な違いとなるのはもちろん、食事の間にあける時間の長さです。ここに5つの例を挙げましゅう。
(12時間メソッド)
これは断食時間のほとんどが睡眠時間に当てられるため、とても人気のメソッドで、初心者向けでもあります。例えば午後7時に1日の最後の食事を終え、次の食事を午前7時にとるなどです。これだけの断食時間でも十分な効能を得ることができます。
(16/8メソッド)
12時間と同様に最も人気のメソッドの一つです。この方法では通常、午後の食事を8時までに終わらせます。そして次の日の朝食を抜かし、正午まで何も食べないようにします。
(5:2メソッド)
このメソッドでは週に1回、2日で合計500-600カロリーしか消費しない期間を作り、その他の5日間は普通に食事をとります。
(1日1食メソッド)
このメソッドでは23時間連続で断食を行い、1日に1回、1時間をかけて量の多い食事を食べます。
(隔日断食メソッド)
隔日ごとに断食を行います。
「出る可能のある副作用」
(空腹感)
人の体の中では定期的に食事をしたくなるように空腹ホルモンともいわれるグレリンが代謝リズムを整えてくれています。そのため、ファスティングによる新しいリズムに体が慣れるまでは、空腹感が問題になるかもしれません。初めの頃はお腹がなってしまうこともあるでしょう。それでも餓死することはありません。血液検査のために食事を控えたことはありませんか?それでも大丈夫だったはずです。大事なのは心の持ちようです。気を紛らわしましょう。空腹感は数分しか続きません。空腹感に耐えられないのであれば、食べましょう。水や お茶、ブラックのコーヒーなどを飲むのもいいでしょう。
(疲労とぼんやり感)
エレルギー源としてグルコースを継続的に消費することに体が慣れてしまっている場合、特に間食や食事で炭水化物や甘いものをとることに慣れてしまっている場合、脂肪の消費に切り替わる前に体が準備を始めます。この準備期間中、疲労感やぼんやり感を感じる場合がありますが、これはごく普通のことです。水分と睡眠をよくとることが、これらの症状を抑える役に立ちます。
(栄養不足)
栄養価の高い食材を意識して取らなければ、栄養が不足してしまう可能性があります。さらに食事に特定の栄養が足りていなかったり、ファスティング開始前の時点で栄養不足の状態だったり、栄養を十分に消化できない状態であったりすると、健康を害してしまう危険性があります。きちんとした栄養で体をサポートすることで、体を保護できるだけでなく、健康を増進することができます。
(過食)
ファスティングの後の食事で食べ過ぎてしまっていると感じる人も多いようですが、研究によると、実が食べる量が少なくなる傾向にあるようです。インターミッテント・ファスティングはこの点において、革新的なダイエット方法と言えます。実際にファスティング後の過食に悩む人もいますが、それもしばらくすると自然に改善していきます。それよりも自分の食べるものに気をつけ、健康的で栄養価の高い食材を取り入れていくことが重要です。ファスティングの前の日には十分に食事をとるようにしましょう。
(頭痛)
頭痛の主な原因は水分不足によるものです。水分を十分にとるようにしましょう。さらに、ファスティング中は睡眠不足や血糖値の低下も頭痛を引き起こす可能性があります。また、インターミッテント・ファスティングは体にストレスを与えてしまうので、ストレスホルモンが頭痛を引き起こしてしまう可能性もあります。
水分をもっととるようにしたり、睡眠時間を十分にとったり、サプリメントをとったり、ファスティングの前の日に食事を十分にとったりするなどの簡単なライフスタイルの調整で、ファスティング時の頭痛を防ぐ助けをすることができます。
(ホルモンバランスのくずれ)
インターミッテント・ファスティングをすることで、ホルモンバランスがくずれてしまったり、そのくずれが悪化してしまったりしてしまうことも覚えておきましょう。特に女性である場合や、ストレスを感じている時にこの症状が出やすくなります。ファスティングをする前には必ず医師に相談しましょう。食事を抜かすことで体にストレスがかかるため、副腎疲労がある方も注意が必要です。
「ファスティング中に健康を引き出すためのサプリメント」
体に必要な栄養を与えられないことも、ファスティングのもう一つの副作用と言えます。そのため、サプリメントを使用することが役に立つ場合があります。以下に食事に取り入れるべき必須栄養素をいくつか挙げていきましょう。
ファスティング中はサプリメントを1日の初めの食事の後、もしくは食事を2回終わらせた後にとるようにしましょう。これはサプリメントをとることで絶食状態が終わってしまうのを防ぐためです。また、コーヒーとお茶の飲む量に気をつけましょう。タンニンやカフェインはサプリメントの吸収率を下げてしまう可能性があります。
(マルチビタミン)
基本的なマルチビタミンをとることが、栄養の基礎を作るのに重要です。マルチビタミンはファスティング中に起きる栄養不足を防いでくれる保険的なものだと考えてみましょう。
(ビタミンD3)
例えとても健康的な食事を心がけたとしても、ビタミンD3を食事から十分にとることはできません。ビタミンD3は健康を最大限に引き出すために必須のものですが、多くの人がビタミンD3不足の状態にあります。ファスティング中にビタミンDを十分にとっておくことで、脂肪の減少、特に腹部脂肪の減少に役立ちます。
(オメガ3脂肪)
オメガ-3 脂肪は炎症を抑えてくれるため、健康に不可欠です。たいていの食事にはオメガ-6脂肪が大量に含まれています。これが体に炎症を起こし、脂肪や倦怠感を起こします。それから助けてくれるのがオメガ-3です!特にファスティング中は軽度の炎症を抑えるためにオメガ-3を食事に追加するようにしましょう。
(ビタミンBブレンド)
ビタミンB群が慢性的に不足している人は多く、 特にビタミンB-12が足りていない人がたくさんいます。ビタミンB群はエネルギー量や脳の機能、細胞の代謝に直接影響を与えます。
ビタミンBブレンドのサプリメントを定期的に摂取することで、マグネシウムとカリウムなどのファスティング時に大切な栄養をきちんと吸収する助けとなります。
(ミネラル)
マグネシウムとカリウム、ナトリウムはファスティングやケトジェニックダイエットに不可欠なミネラルです。マグネシウムやカリウムのサプリメントをファスティングに取り入れ、筋肉のつりや疲労感、頭痛を予防しましょう。
インターミッテント・ファスティングは多くの可能性を秘めたすばらしいダイエット法です。しかし、人によって向き不向きがあります。例えば糖尿病の方や妊娠中・授乳中のお母さん、子供はインターミッテント・ファスティングをするべきではありません。また、慢性的な疾患を抱えている方はまず医師に相談しましょう。さらに、過去に摂食障害を抱えていた方などもインターミッテント・ファスティングをしない方がいいでしょう。
Lori Shemek、PhD CNCは、認定栄養コンサルタント、認定ライフコーチであり、また、心理学の博士号も取得しています。 彼女は炎症とその減量における役割、病気の予防、そして健康の最適化の権威者として認識されています。Shemek博士は、「How Fight To Fatflammation!」(HarperCollins)と「Fire-Up Your Fat Burn!」のベストセラー作家でもあります。 同博士は、クライアントの減量をサポートすること、特定の食品がもつ毒性とその人が選ぶライフスタイルにより、どのように体内で炎症を起こし、体重の増加や不健康につながるかを伝えていくことに使命感を感じています。