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LIFE SPAN 老いなき世界「人類は老いない身体を手に入れる」デビッド・A・シンクレア著

LIFE SPAN 老いなき世界「人類は老いない身体を手に入れる」デビッド・A・シンクレア著

☆老いないために今すぐ出来ること

基本的な方針は、エピゲノムに適度なストレスを与えて、活性化するという物です。

・カロリー制限をする。
・間欠的に断食をする。
・アミノ酸を制限する。
・汗をかく。
・寒さに身をさらす。

著者のデビッド・A・シンクレア氏は、ハーバード大学の遺伝学の教授で、TIME誌の最も影響力のある人100人にも選ばれています。

この本で書かれている事は、れっきとした理論とエビデンスに基づいて、実証が進んでいる内容で、今現実に起こっている出来事です。

1.生命が老いるメカニズム

ごく単純に言えば、老化とは情報の喪失です。

身体の中には、2種類の情報があり、一つはDNAで、もう一つはエピゲノムと呼ばれるものです。

DNAは、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)、というたった4種類の組み合わせで表現されるデジタルな情報と言えます。デジタル情報なので、同じ内容を繰り返し複製できるという特長があります。

一方、エピゲノムはアナログ情報です。私たちの体の細胞には、全て同じDNAが含まれているにも関わらず神経細胞になったり、皮膚細胞になったりするのは、エピゲノムが遺伝子のスイッチを切り替えている為です。

ヒトの新生児は、たった一個の授精卵から始まり、何百種類もの断った役割を持つ細胞へと別れて行きますが、そのプロセスを調整しているのがエピゲノムです。エピゲノムは、分裂するそれぞれの細胞に対して、どの様な細胞になれば良いか教えているのです。

エピゲノムは、それぞれの細胞の性質を決定しますが、DNAと違ってアナログな情報なので、時間と共に劣化していってしまいます。DVDの場合には、完全なコピーが複製できますが、ビデオテープでは、コピーをする度に画質が落ちて行くのと同じです。

エピゲノムの情報が劣化していくと、生まれ変わる細胞の品質も下がって行き、組織や臓器は、だんだんと上手く機能しなくなって行きます。筋力は低下し、目は濁り、骨の密度は薄くなり、脳の働きも鈍くなって行きます。

このエピゲノムの劣化こそが生命が老いるメカニズムなのです。

2.老化は治療できる病である

老化の正体が科学的に解明されるにつれて、明らかになって来た事があります。

それは、老化というのは、原因があるありふれた病気であり、病気であるい以上は、治療が可能である。

ガンや、心臓病、アルツハイマー病などは、それぞれ個別の病気だと考えられて来ましたが、実はそれら自体は、病気ではなく老化により起こる一つの症状にすぎないという事が分かって来ました。

つまり、根本の病気である老化さえ治療すれば、そこから引き起こされる全ての症状は発生しなくなるという事です。

ヒトが持つ情報には、DNAとエピゲノムがありますが、デジタル情報であるDNAは、何万年も前のネアンデルタール人のDNAが再現可能な状態で保存されている事からも分かる通りとても壊れにくい頑丈なものです。

時と共に劣化するのは、アナログ情報であるエピゲノムの方で、たとえ老化が進んでも大本であるDNAは、ほとんど影響を受けません。

老化は、自然現象であり避ける事が出来ないと考えられて来ましたが、老化は、治療できる病気であり、これからの技術の進歩により治す事が出来る様になります。

そうなった時、人間の健康についての考え方は、根本的に大きく変わる事となるでしょう。

3.老いないために今すぐ出来ること

老化を防ぐ為に、今すぐ出来る事は、実は沢山あります。

基本的な方針は、エピゲノムに適度なストレスを与えて、活性化するという物です。

・カロリー制限をする。
・間欠的に断食をする。
・アミノ酸を制限する。
・汗をかく。
・寒さに身をさらす。

一般的な、私たちの食事では食べ過ぎという事になります。

1日1食か2食で、カロリーはより少なく、そして、肉や魚、卵、乳製品の様な動物性のタンパク質をさ避けて、豆類や野菜から植物性のタンパク質を摂る事。そういった食生活が老化の防止に効果的である事は、すでに科学的にも実証された内容になっています。

4.「老いなき世界」の人生戦略

現在、120才が上限とされていますが、将来その上限は大きく伸びていく可能性があります。

しかし、このような話しに不安を感じる人も多いおと思います、寿命が延びても体が思うように動かない老後の期間が長くなるだけではないのか。

高齢者が多くなった時に、社会保障制度は維持できるのか、

著者が説く、老化の情報理論で重要なポイントは、健康寿命も共に延びて行くというものです。

老化はあらゆる病気の原因となる為、老化自体を遅らせる事が出来れば、心臓疾患、がん、アルツハイマー病など、命に関わったり大きな後遺症を残す症状のリスクをまとめて低下させる事が出来ます。

多くの人が、健康な状態で100歳を迎える事が出来、しかも現在の50歳並みの活動レベルを維持する事が出来ます。

人が100歳でも働き続ける事を選ぶ事が出来れば、経済の在り方も根本から変わる事でしょう。